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父のこと ~9万円 5万円~

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父は静かに逝きました。


退院が数日後に決まったと聞き
様子を見に行った日。

どうみても、退院できるような状態には見えなかったけど
「まあ、なんとか工夫するべ」

工夫かあ、すごいなあこのヒトは、と
感心してもいました。


退院を3日後に控えていたため
お金の引き出しを頼まれていました。

引き出した分を手渡すと

「じぇにっこ(お金)、大丈夫か?」


40歳過ぎた子に問う内容ではないのだけど
父は、いつも必ず問いました。

「大丈夫だよ、今は」
と応えて笑うと

よれよれした手つきで
何枚か数えたお札を差出し
「いいから持っていけ」

強く誇示することも憚られ

じゃあ、また様子見に帰ってくるから
今度は深夜バスじゃなく新幹線にするよ

父は「うん」とうなずいて・・・。


その会話が、父と交わした最後になりました。


その2日後。

父は意識をなくしました。退院前日のことでした。


妹からの連絡でバタバタと実家に帰る準備をするとき
とりあえず、父からもらった封筒をかばんに突っ込みました。

もちろん帰るのは、新幹線で。

新幹線でも落ち着かず
父からの封筒を取り出し、いくら入っているのだと
数えると、9枚。
何度、数えても9枚。


たぶん、そうたぶん。

本当は、10枚数えてた、いや私に10枚渡したつもりだった
でも、すでに数えることもフラフラな状況だったのでしょう。


泣けて、泣けて、泣けて。












その日から、付き添いが許可され
妹と交代しながら父のそばで過ごしました。


妹と交代し家に戻る道中、
たまたま急ブレーキをかける瞬間があり
何かが後部座席から滑り出してきました。

なんと、大量の年末ジャンボ宝くじ!

はあ?

お父さん、あなたもう、年末はかなり具合悪かったよね?
でも、こんなに宝くじ買ってたの?

しかも、どこで買ったの?

10枚入り×13セット

おいおい、と突っ込まずにはいられず・・・

妹と交代のとき、父親をふたりで冷やかし
もしかして、億万長者になったらどうしよー、と
とらぬ狸の皮算用話で盛りあがったりしながら
さっそく、妹に当選確認をお願いしたわけです。


なんと!
5万円当選!

おおおおおおお!
パチパチパチパチどんどんどんどん♪

さっそく父に報告したのは言うまでもなく。

息をひきとった後、父方のおばたちにその話をすると
宝くじを買う父に意外!と驚きながらも
「当だるの楽しみにしてたんだべなぁ」と涙ぐみ・・・



ちなみに
たっくさんのハズレくじ。

納棺師さんにお願いして
棺に入れていただきました。
花びらのように、きれいに・・・。

(※この場にはアップできないけど
写真も撮っちゃってます。)



今日、葬儀を終え
父と一緒に家に帰ってきました。
退院して家に戻りたい、と思っていた父の願いを
49日まで叶えてあげることができます。


ちょっと箱の中で窮屈かもしれないけど・・・







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非公開コメント

No title

また来るんだよ、の9万だったのかも、、(笑)

ほんとうに、どこまでもどこまでもあたたかい父娘ですね。
父上はきっと安心して旅立たれたんだろうなぁ。
痛みや不自由さから解放されて、ちょっと自慢げに皆さんを
見守っているんだろうなぁ。

立派にお送りした皆さんに心からのお疲れさまでした、と
父上のご冥福をこころよりお祈り申し上げます。




No title

親孝行できてよかった

No title

いくつになっても、子どもは子どもなんだね。

心配かけて、心配かけて、、、

そして、大きな愛情で包んでもらう。。。



父上は、きっとコワタリにお金渡せたから、安心してるね。

宝くじの結果には、少々不満かもしれないけど。


私の大切な親友を産み育ててくれたこと、深く感謝です。。。

色々と・・・・

想像し、思い巡らし・・・・
ブログを拝見しました。

とてもとても、胸に迫るものがあり・・・・
声出して、泣いてしまいました。(コンタクトもずれました)


父親って・・・・

なぜか不器用で、なぜか・・・

たまらなく

優しい。


私の父も、不自由な身のゆえ
ベッドで寝ていることが多いのですが
小渡さんのエピソードと色々重なって
思うことが多々ありました。

とにもかくにもご冥福をお祈りいたします。
訪問ありがとうございます
プロフィール

コワタリ ユミコ

Author:コワタリ ユミコ
青森県出身。

まだまだ好奇心を
増やしたい。

増やした好奇心で
行動したい。

行動したら、感動したい。

感動したら、感謝したい。

そういう48歳で
ありたい。

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